「どうしてこんなことが起こるんだろう?私が何か悪いことしたの?」
生きているとこんな風に思うことがありますよね。そんな時心が軽くなる映画があります。
2018年のベネツィア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を獲得した「ROMA/ローマ」です。監督は「ゼロ・グラビティ」でアカデミー賞監督賞に輝いたアルフォンソ・キュアロン。劇場公開ではなく、NETFLIXという動画配信サービスでの公開という手法でも話題になりました。
この映画は、1970年代にメキシコシティに暮らすヨーロッパ系家族のもとに、住み込みで働く家政婦の物語です。彼女の目を通して、ヨーロッパ人や高所得者と、メキシコ人や労働者との違い、女性や家政婦がどんな風に見られていたかを感じることができます。そんな中、彼女は恋をして妊娠するのですが…。
主人公がとにかく寡黙なんです。 理念と志を持っているはずの恋人に人格を否定されるような仕打ちをされても、放っておかれて不安な日々を送っていても、愚痴を言うことも騒ぎ立てることもありません。少しだけ悲しみをたたえた目でじっとみつめて、受け入れていきます。
同じタイミングで雇用主の離婚騒動が持ち上がるのですが、ヒステリックに嘆き悲しむ夫人との対比でそれがより一層際立ちます。
どんなことが起こってもそれから逃げることなく淡々と受け入れていく…。それって本当に芯が強くないとできないことですよね。
そして逃げることなく正面から悲しみを向き合うことで、閉鎖的だった彼女の世界が解放されていくんです。それが、最初のシーンと最後のシーンの対比でわかるようになっているという心憎さ…。うーん、映画のだいご味です。
主人公の強さ・やさしさが、夫人の心にも少しづつ染み込み、お互いに支え合って、最後には心に明かりがともる…。そんな映画です。
この「目の前のことを受け入れる」ってすごく大事なことで、食生活にも当てはめることができます。それは旬のものを食べるということにつきます。
例えば、梅雨時には湿気と暑さで私達の体ってむくみますよね。それと同じように、植物も体内に水分をたっぷり蓄えます。きゅうりやトマト、ナスなど。
そんな夏野菜には、水分を外に排出するカリウムが多く含まれていて、むくみを解消してくれます。
旬の、今目の前でできている作物は、体を良くするようになっているんです。だから、旬の作物を食べる(目の前のことを受け入れる)と健康になれるんです。
いやあ、そんな自然の法則を改めて思い起こさせてくれたすてきな映画でした。
心の栄養には映画、体の栄養には旬の作物をぜひ摂ってみてくださいね!
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スタンリー・キューブリック監督の名作「シャイニング」は、タイトルの通り、人の輝きを描いた映画。
原作者のスティーブン・キングは、人間を洞察力豊かに、心の闇をえぐり出して描き上げる天才。ストーリーテラーとしても知られ、キャリー、グリーンマイル、デッドゾーンなど、小説も映画も超おもしろい!
以前この映画を観たのは20年以上前。その時、この映画の言う輝きは息子のダニーの異能力のことなんだと思った。でも、最近になって観たらずいぶん違う印象を受けて驚いた。
ダニーの父ジャックは、雪深い山奥のホテルの冬季閉鎖中の管理人として働くことを決めた売れない作家。ホテルには以前管理人として勤めていて、孤独感から精神を病み娘たちと妻を殺した人の霊が残っていた。
ダニーは目に見えない何かと交信する能力を持っていて、このホテルに残っている惨殺された娘たちや母の霊におびえていた。
「お前の言うことを聞かないやつらは殺してしまえ」という霊の誘いに簡単にのっちゃう弱いジャック。それに対して、弱々しかった妻は息子を救うために夫に立ち向かう。
霊とつながることができる才能を持つ息子やコックの黒人は、物語の中で重要な役割を持っているけど、その才能は現実を動かさない。コックはすぐに殺されてしまうし、息子が逃げ切るのも才能のおかげではない。
現実を動かすのは、息子を助けたいという母の強い意志なのである。ダニーはもちろん輝きを持っている。でもそれと同じくらい、いやそれ以上に母の意志は輝いている。
そう。私たちも同じ輝きを持っている。強い想いはものすごい輝きなのだ。
例えばあなたが今これを読んでいるパソコンやスマホは、誰かがそれを作りたいとずーーーっと考え続けた結果できたもの。今座っている椅子や、乗っている電車、飲んでいるコーヒー、全部そう。
そしてあなた自身の現在も、あなたが思い描いた通りになっている。
もしあなたが独身でバリバリ働くキャリアウーマンでも、子供二人の子育てが終わってパートで週3日働き始めた主婦でも、土日を全部部活に費やし平日も8時まで学校を出られない高校教諭だとしても、今のあなたは、あなたが選んだことが積み重なってできている。
自分の想いに沿って選択しているんだもんね。
だから自分の想いをよく聞いてあげて、ピカピカに磨いてあげてね。そしたら、輝きはどんどん増して、あなたはどんどん自分らしくなる。
叶えたい夢がある。
でもどう叶えたらいいかわからない。
経験もないし、ツテもコネもない。
そんな風に悩んでいるあなたにおススメの映画。
アカデミー賞8冠のスラムドッグ$ミリオネアは、絶対にあきらめない男の話。
インドのスラムで生まれた少年が、理不尽に母を殺され、子どもを搾取するギャング集団に育てられながらも、好きなものをあきらめずに追いかけ続けてついに手に入れる物語。
インドの貧しさゆえの社会的問題が大きく横たわっているため、搾取する側とされる側の対立に目が行きがちだが、監督の主題はそこにはない。
スラム街で育った主人公ジャマールは幼い頃から好きを絶対にあきらめない強い心を持った少年。一方、一緒に育った兄は自分を信じられない、弱い心を持った人間として対照的に描かれている。
母を殺された暴動の混乱の中、ジャマールは運命の人ラティカに出会う。
ホームレスの三人を救ってくれたように見えた児童保護団体はギャングの組織で、ジャマールと兄は逃げ出したが、ラティカは逃げられず情婦に。
初恋の人ラティカと連絡がとれなくなったジャマールは、国民的人気クイズ番組に出ることを思いつく。
クイズの出題問題が奇跡だ。全ての問題がジャマールの夢を叶えるために書かれている。それは奇跡のように見えるかもしれないけど、本当に夢を叶えてきた人ならこういうことが起こることがあるのを「知って」いるのだ。
映画を作る人は自分の好きを追求してきた人だろう。それが積み重なって今映画を作っているのである。その過程で奇跡とか導きとしか思えない瞬間を何度も経験しているはず。それを映画にしているんじゃないのかな。
どんな過酷な状況でも、人は光をみつけることができればそこに向かうことができる。どんなに困難に見えても、ゴールさえ決めて諦めさえしなければ、そこへたどり着ける。
やり方やスキルは知らなくても大丈夫。何をしていても自然に考えてしまうような、どうしてもあきらめられない夢があるなら、ただあきらめなければそれで大丈夫!
あきらめなければ絶対にゴールにたどり着ける!
「レディ・プレイヤー1」は巨匠スピルバーグが監督したSF映画。スピルバーグはこの映画で、運命の小さなささやきが、誰かをジェットコースターのように日の当たる場所へ連れていく様子を描きたかったんじゃないかな。かつての自分のように。
物語は、2045年の荒廃した未来世界が舞台だ。人々はその現実から逃れ、バーチャルリアリティーの世界「オアシス」に浸っている。そこではゲームをするだけでなく、仕事をしたり、学校へ行くという、食事や排せつ以外のほとんどを行えるようになっている。
その「オアシス」の持ち主が、死に際にゲームを仕掛けた。勝てば彼の総額56兆円もの遺産と「オアシス」の運営権を手に入れることができるというゲームだ。世界中の人が争奪戦をスタートさせた。
主人公のウエイドは、ぱっとしない現実から逃げ込むように、VRの世界にハマっている若者の一人。ゲームが好きでハマっている人は大勢いる。ウエイドはその他大勢とどこが違うのか?それはウエイドが好きを極めたオタクだってことだ。
ゲーム好きのウエイドは「オアシス」の創始者のジェームス・ハリデーに関する知識も半端ない。ハリデーが何を考え、何を求めていたのか。ハリデーの意図を読むのにその膨大な知識が役に立ったのだ。
ハリデーの言葉を何度も頭の中で繰り返していたウエイド。だからこそ、さらなるヒントを求めて出かけたハリデー年鑑で、運命の小さなささやき「後ろに動いてみればいいのに」をキャッチできたのだ。
そのヒントで最初のミッションをクリアしたのち、次のミッションをクリアできたのもささやきのおかげだった。
彼はその時、アルテミスという美人アバターに恋をしていた。仮想世界の中で思いを告げるウエイドに、アルテミスは「あなたは現実を生きていない。そんな男は願い下げ」とにべもない。
運命に導かれて現実世界でも二人は出会う。顔にあざをもったリアルのアルテミスを見て、ウエイドは自分の愛が変わらない事を告げる。心を揺さぶられるアルテミス。
恋の始まりは恐れに満ちている。キスしたい、でも拒否られるかも…。そんな二人の心の揺らぎが運命のささやきだった。
ハリデーには、昔恋をした女性にキスできなかったという後悔があった。生涯ひとり身で寂しかったハリデー。恐れを超えて人とつながることの大切さがわかる人をオアシスを運営する後継者にするべく、ヒントを仕込んでいたのだ。
そのささやきをキャッチしたのはアルテミス。好きを突き進むウエイドに、周囲の助けがどんどん集まるようになってくるのだった。協力しあう仲間たちができて、ウエイドはどんどん楽しく、どんどん強くなっていく。
様々な敵の妨害に会いながらも、苦労の末ウエイドが最後のミッションもクリアすると、今までアバターとして登場していたハリデーが、本当の姿を表す。同時に子供時代のハリデー、その当時の部屋の映像が現れた。
ゲームに熱中する子供のハリデー。日の当たる場所にいなかった頃のハリデー。純粋に好きなことをしていた子供時代の映像を見せる。
そこでウエイドが、イースターエッグ(遺産とオアシスの運営権)を手に入れる。それは「好き」なことをしていれば宝物を手に入れることができることを暗示している。
スピルバーグが映画監督になったのは偶然の結果だったと、スピーチで言っていたのをネットで見たことがある。彼は初めて見た映画の列車事故のシーンが忘れられなくて、それを再現したくておもちゃの電車で遊んでいたという。
本当にぶつけて壊したいけど、おもちゃがなくなったらもう遊べない。その時、「列車同士をぶつけて壊すところをカメラで撮影すれば、繰り返し何度も楽しめる」と思いついたという。そして初めてムービーを撮った。それが映画監督の始まりだったと。
「目の前にある好きなことを続けることが、あなたを日の当たる場所へ、あなたの行きたい場所へ、連れて行ってくれる。」
オタクは、周囲の目を気にせずに好きなことを楽しんでいる。この映画は、そんなオタクたちへの賛歌。スピルバーグは自分もそうだったし、それでいいと伝えたいんだと私は受け取ったよ。
「好きを楽しむ」だけでいいなら、今すぐから始めよう!
こんにちは。
TVで釣りバカ日誌を放映していて、久しぶりに見ました。やりたいことをやっている人とやりたいことをやっていない人との対比がおもしろくてじっくり見てしまいました。
やりたいことをやりなさい
映画の中でスーさんは社長だけど、やりたいことをやっていない。浜ちゃんは平社員なんだけど、やりたいことだけをやって生きている。予想を外した設定がこの対比をおもしろくしているんですね。
楽しむためだけに生きている
スーさんが浜ちゃんの奥さんのミチコさんになれそめを聞くシーンがあります。ミチコさんは浜ちゃんのプロポーズに心を動かされたと言います。それが彼の人間を表しています。
「僕はミチコさんを幸せにできるかどうかわからない。でも僕は絶対に幸せになれるから結婚してほしい。」
浜ちゃんは自分が幸せになることに全力投球しています。自分が楽しくて満たされていると、それは周りに伝染してしまいます。自分が楽しければ楽しいほど、周囲を楽しませてしまうのです。
「人は他人を幸せにすることはできない、自分を楽しませるのは自分以外にはできない」というメッセージがこもったプロポーズ。そこにミチコさんは心を打たれたんです。ミチコさんも浜ちゃんと同じ人種だったという事ですね。
あなたが楽しければ周囲も楽しくなる
2015年8月、科学雑誌「ネイチャー」が、「ここにあるもの(思考)が向こうにあるものに影響を与えること」が証明されたと発表しました。
これは、あなた個人が発している思念が、周りに影響を及ぼすことが科学的に証明されたということです。あなたが不機嫌でいれば周囲にマイナスの影響があり、あなたが上機嫌でいれば周囲にプラスの影響があるというのは事実なのです。
ということは、「あなたが楽しいこと」=「周囲の人を楽しませる」なのです。だからだから、あなたがやりたいことをやることが、周囲を、社会を楽しませるのです。
まとめ
スーさんのような人生に疑問を感じて、今までと違う道を歩み始めたあなたが、指針にするもの、それがあなたのやりたいことです。
あなたが楽しいと感じること、違和感を感じないもの、体の芯があたたかくなるもの…。あなたの感覚を信じてください。それは人によって宇宙と言ったり、神と言ったり、無意識と言ったりする何かとつながっています。
好きなことは生きるためのガソリンのようなものです。好きなこと、やりたいことをやっていると、ガソリンがいっぱい注入されて、エネルギーが満タンになります。すると人生が上手く行きやすくなります。「何か」が応援してくれるからです。
浜ちゃんを見てるとそれがよーくわかりますね。
あなたの好きなこと、やりたいことは何ですか?
こんにちは。とびらです。
SFオタクを満足させてくれるだけじゃなく、思いを実現するための法則を学べる、一粒で二度おいしい映画のレビューです。
感謝するとうまくいくとか、潜在意識を使えばうまく生きられるとか言われても、ただの妄想でしょ?と思ってしまう時がありますよね。そんな時この映画を観ると、無意識が持つ力を再認識できます。
無意識の存在を信じることが成功につながる
無意識、宇宙の意志、神、地球外生命体?呼び名はわかりませんが、映画、特にSF映画にはこの存在が描かれることが多いんです。たいていは望みを叶える存在として。
あらすじ
舞台は近未来の地球。食糧難で人類は滅亡の危機にあり、主人公クーパー率いる宇宙飛行士たちが、人類の永住の地を求めて宇宙に探索に出かけるというストーリー。発端となるのが、クーパーの幼い娘が寝室で本棚の本がバタバタと落ちる現象をたびたび見て、強く興味を惹かれること。
そこからすべてが始まり、地球の運命を動かしていきます。クーパーと娘の強い思いが、空間も時間も越えて永住の地を見つけ出すのです。
ガチSF映画の根底に流れるもの
この映画は、SF映画の金字塔と言われる「2001年宇宙の旅」や、1997年公開のSF映画「コンタクト」とオーバーラップするところが多く見られます。3作品とも、根底に何かの意志が働いていることも共通しています。
思うにガチガチのSFものって、宇宙の意志なのか、地球外生命体の意志なのか、神の意志なのかわからないけど、そういうものがストーリーの根底にあることが多いような気がします。エヴァンゲリオンなんかもそう。
なぜなのか考えてみると、SF=科学の作り話ってことだから、科学でまだ証明されていなものや、なぞとされているものの話が多くなります。科学は人間の目に見えないものや聞こえないものの正体を次々に明らかにしてきて、意志もエネルギーということがわかってきてる。
エネルギーは物質を動かします。
宇宙を動かしているエネルギーが意志だということはまだ証明はされていないけど、そうだと考えると科学のルーツを考えるとすごくしっくりくるんです。なぜなら近代科学はキリスト教から生まれたと言われているから。
神が宇宙を作ったのなら完璧な法則があるはず、との信念に突き動かされた神学者たちが、実験や観察をくりかえして法則を発見していったのが科学の始まりなのです。運動の三法則で有名なニュートンも神学者でした。
意志を神ととらえているのが宗教ですが、科学を突き詰めてそこへたどり着いたと考えると、格好のSF映画のテーマになるのでは?
人類を永住の地へ導く存在とは?
クーパーが娘に早く会いたいからタイムロスの多い星は行きたくないと言えば、同僚のアメリアは恋人のいる別の星に行きたいと言う。プロジェクトの頭脳である教授は人類が生き残らない前提でプランを立てているし、天才博士は自分が生き残るために他人を犠牲にする。
誰も人類のために行動してないじゃん、人類のために戦えよ、自分のことばかり考えてるんじゃねえよ!と叩いて見せながら、実はそんな声に耳を傾けるな!と言っています。
思いが独善的だろうが博愛的だろうが欺瞞だろうが自己愛だろうが「意志」は評価や判断することはなく、ただその強さだけを受け取ります。娘や恋人を救いたい気持ちは、顔も知らない人類を救いたい気持ちよりずっとずっと強い!
その強い思いがクーパーを、時間も空間も越えさせて、発端となった娘の寝室の本棚とつながらせるのです。クーパーからメッセージを受け取った娘は人類を救い、永住の地へ橋渡しをする…。めっちゃいい話じゃん。
まとめ
思いを実現する法則はとてもシンプルです。この映画では、人類の存続と個人的な望みという難しい選択でも、シンプルに考えていい、自分が心の底からやりたいことをやった方が、無意識とつながることができると言っています。無意識は、望みを思い通りの形でなくても最終的には、想像を超えた形で実現してくれるよと。
映画や小説は物語を通して、手を変え品を変え、思いは実現することを私たちに伝えようとしてくれています。
こんにちは。とびらです。
生田斗真主演の「予告犯」を観ました。2015年公開の映画なのでDVDでの鑑賞です。この記事では映画の核心に触れているため、謎を推測できてしまいますのでご承知おきを。
映画のテーマ「小さくても、人のために人は動く」について考えてみました。
思いに人は動かされる
「予告犯」は、ネット動画上で犯行を予告し実行する通称「シンブンシ」の物語。法律には触れないけれど人を騙したり、人としてのの尊厳を踏みにじる者たちを制裁する彼らに、世間は注目するようになります。彼らは自らも自分の尊厳を守れず、一般社会からドロップアウトした若者達でした。
彼らが動画投稿を始めたのは、一緒に働いていた一人の少年が亡くなったことが引き金でしたが、行動の源になったのは、彼らの鬱屈した心をほぐした少年の思いでした。
自分を突き動かす思い
少年はフィリピンから腎臓を売るという大きな犠牲を払って、日本に来ていました。何が彼をそこまでさせたのか。それは「お父さんによく来たねといってもらいたい」という思いでした。映画の中で少年は無垢な存在として描かれていました。好奇心が旺盛で疑うことを知らない幼い子供のまま成長した少年。
少年が父に会いたいと強く願うことができたのは、計算や恐れがなかったから。父に会って得られる何かとそのために払う代償を比べるとか、父が自分に会って喜ばないかもしれないとか。少年の中の無垢なものは、人間が誰でも心の奥底に持っていて自分らしさを思い出させてくれるものです。
それが周りの人たちを動かしたのです。
わかりやすいほうがいい
人は自分の本当の望みに気付いてない事が多いですよね。辛い境遇にあれば、自分を捨てたお父さんのせいにして恨んで「会いたくない」「仕返ししよう」と思ってしまうことが多いでしょう。積年の恨みが凝り固まって、心の底では「会って自分を認めてもらいたい」と思っていても気付けません。
少年はそれを軽々と越えてしまうんですね。少年の言う「僕は頭が悪いから、難しいことは考えられない」ことで越えられるなら、ある意味最上の方法なんじゃないでしょうか。バカになって難しい事は考えないことが。
人に伝える
シンブンシ達と少年が夢を語り合うシーンがあります。そこで語られた少年の夢「お父さんに会いたい」はシンブンシたちが引き継ぎ、動画配信で世間の注目を集めたことで、少年がもう亡くなってしまっても叶いました。
主人公も自分の夢を語った時、自分が何を望んでいるのか明確になりました。だから少年が死んだ時やりたいことが頭に浮かんできたのです。彼の夢も少年の夢を叶えることで叶いました。誰かに伝えたあの時、夢が実現への一歩を踏み出したのです。
その他のみどころ
動画配信によるサイバーテロがこの映画の表舞台ですが、全編を通して描かれるのは人間同士が心でつながるという超アナログな世界。警察とのサイバー戦争を期待して観た人もいい意味で裏切られるはずです。主人公のゲイツの在り方も、演じる斗真君もめちゃかっこいい映画です。
戸田恵梨香演じる警察のエリートが、次第に主人公と心を通わせていくのも見どころなのですが、斗真君の抑えた演技が光っていただけに、彼女の軽すぎる演技はかなり残念でした。もう少し釣り合いの取れるキャスティングはなかったのか!
まとめ
「小さくても、人のために人は動く」の「小さくても」は小さくなんかない、時には自分の存在よりも大きいこともあります。自分の中にも無垢なものがあるか、何の計算も恐れもなくやりたいことに向き合っているのか、考えるきっかけになる映画だと思います。