こんにちは。とびらです。
生田斗真主演の「予告犯」を観ました。2015年公開の映画なのでDVDでの鑑賞です。この記事では映画の核心に触れているため、謎を推測できてしまいますのでご承知おきを。
映画のテーマ「小さくても、人のために人は動く」について考えてみました。
目次
思いに人は動かされる
「予告犯」は、ネット動画上で犯行を予告し実行する通称「シンブンシ」の物語。法律には触れないけれど人を騙したり、人としてのの尊厳を踏みにじる者たちを制裁する彼らに、世間は注目するようになります。彼らは自らも自分の尊厳を守れず、一般社会からドロップアウトした若者達でした。
彼らが動画投稿を始めたのは、一緒に働いていた一人の少年が亡くなったことが引き金でしたが、行動の源になったのは、彼らの鬱屈した心をほぐした少年の思いでした。
自分を突き動かす思い
少年はフィリピンから腎臓を売るという大きな犠牲を払って、日本に来ていました。何が彼をそこまでさせたのか。それは「お父さんによく来たねといってもらいたい」という思いでした。映画の中で少年は無垢な存在として描かれていました。好奇心が旺盛で疑うことを知らない幼い子供のまま成長した少年。
少年が父に会いたいと強く願うことができたのは、計算や恐れがなかったから。父に会って得られる何かとそのために払う代償を比べるとか、父が自分に会って喜ばないかもしれないとか。少年の中の無垢なものは、人間が誰でも心の奥底に持っていて自分らしさを思い出させてくれるものです。
それが周りの人たちを動かしたのです。
わかりやすいほうがいい
人は自分の本当の望みに気付いてない事が多いですよね。辛い境遇にあれば、自分を捨てたお父さんのせいにして恨んで「会いたくない」「仕返ししよう」と思ってしまうことが多いでしょう。積年の恨みが凝り固まって、心の底では「会って自分を認めてもらいたい」と思っていても気付けません。
少年はそれを軽々と越えてしまうんですね。少年の言う「僕は頭が悪いから、難しいことは考えられない」ことで越えられるなら、ある意味最上の方法なんじゃないでしょうか。バカになって難しい事は考えないことが。
人に伝える
シンブンシ達と少年が夢を語り合うシーンがあります。そこで語られた少年の夢「お父さんに会いたい」はシンブンシたちが引き継ぎ、動画配信で世間の注目を集めたことで、少年がもう亡くなってしまっても叶いました。
主人公も自分の夢を語った時、自分が何を望んでいるのか明確になりました。だから少年が死んだ時やりたいことが頭に浮かんできたのです。彼の夢も少年の夢を叶えることで叶いました。誰かに伝えたあの時、夢が実現への一歩を踏み出したのです。
その他のみどころ
動画配信によるサイバーテロがこの映画の表舞台ですが、全編を通して描かれるのは人間同士が心でつながるという超アナログな世界。警察とのサイバー戦争を期待して観た人もいい意味で裏切られるはずです。主人公のゲイツの在り方も、演じる斗真君もめちゃかっこいい映画です。
戸田恵梨香演じる警察のエリートが、次第に主人公と心を通わせていくのも見どころなのですが、斗真君の抑えた演技が光っていただけに、彼女の軽すぎる演技はかなり残念でした。もう少し釣り合いの取れるキャスティングはなかったのか!
まとめ
「小さくても、人のために人は動く」の「小さくても」は小さくなんかない、時には自分の存在よりも大きいこともあります。自分の中にも無垢なものがあるか、何の計算も恐れもなくやりたいことに向き合っているのか、考えるきっかけになる映画だと思います。
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