コロナの影響で、注目が集まっている玄米食。
炊飯器で炊いていたけど、モチモチで美味しく炊けるという圧力鍋で炊いてみようかな、と思いはじめた方もいるのでは。
玄米をモチモチ、艶々に炊く圧力鍋を選ぶには重要なポイントがありますので、ぜひこの記事を読んでいただきたいです。
というのも、圧力鍋によって玄米の炊き上がりは全く違うからなんです。
ただ、おいしさの尺度は人それぞれ。ここで紹介するのは私好みの、モチモチで艶々の玄米が炊ける圧力鍋です。
あっさり、パラっとした炊き上がりが好みの方は、ここで離脱ください。
私が玄米を食べ始めてかれこれ40年ですが、その間ずっと圧力鍋で玄米を炊いてきました。
これまでに使った圧力鍋は、ドイツフィスラー社のフィスラー、ドイツシリット社のシラルガン、アサヒ軽金属活力鍋、鋳物屋平和です。
そんな経験をふまえて、玄米を炊くのにおすすめの圧力鍋を解説していきます。
選ぶときに気を付けたいこと
一言で「圧力鍋」と言っても、値段や性能は本当にピンキリです。
日本では国が決めた安全基準があるので、安い圧力鍋だからといって危険だという心配はないです。
ただ、価格差の分だけ設計や製造、材質にお金をかけられることは言えると思います。その分、不良品、粗悪品の割合がぐっと減り、耐用年数に差が出てきます。
なので、値段的には少し高価だけど信頼できるメーカーのものを中心にレビューしていきたいと思います。
また、購入する時は、玄米以外に作れるメニューが多彩な鍋が良く見えるもの。
でも圧力で作る料理って意外と限られています。
5分で煮ものができて時短!といっても、圧力鍋だと途中で味の調整がきかないし、柔らかくなりすぎたり、味が抜けてしまったりしておいしくできない事も多く…。
だから玄米を炊くという目的からぶれない事が大事です。
そんな玄米を炊くことに特化した圧力鍋を選ぶときのチェックポイントとは…
熱容量の多いもの
玄米をおいしく炊くのは熱容量。鍋にどれだけ熱を蓄えられるかでおいしさが変わってきます。土鍋のように熱を持ち続けるものがいいのです。
ゆっくりじっくり熱が加わると、素材の旨味が引き出されふっくらと炊き上がります。土鍋のような蓄熱量を持ちつつ高い圧力をかけると、ふっくらしていながらもちもちした玄米が炊けます。
高い蓄熱性を実現するために、鍋の構造や素材を工夫しているかどうかをよく見極めることが重要になってきます。
具体的には、
蓄熱性のある素材を使っているか
厚みがしっかりあるか
をしっかりチェックしましょう。
作動圧力が高いもの
作動圧力と言うのは、説明書や、そこに刻印されているkpaと表示されているキロパスカルのこと。
この数字の違いで玄米の炊き上がりは大きく変わってくるのです。
製品によってはkpaではなく気圧で表示されている物もあります。kpaを気圧に換算すると
kPa = 0.00987 気圧
だそうで、例えば100kpaなら0.987気圧という事になります。
でもって、元々地球上の物体には全て1気圧がかかっているのだそうで…。つまり、100kpaは1,987気圧ということになります。
このkpaが高い=高い圧力がかかる方が、玄米がモチモチするんです。モチモチするというのは、皮は破けずに中の胚乳がアルファ化した状態。
この時、皮が硬いままだとおいしくないので、皮を柔らかくするためには、長時間火にかけるか、圧力をかける必要があるのです。
私の経験から言うと、土鍋のように長時間火にかけると皮は柔らかくなるけど、破けてしまうので、モチモチするというよりはあっさりした炊き上がりになり、
圧力をかけ短時間で炊き上げると、皮が破けずに中まで火が通るように思います。
だから、モチモチ玄米を炊くには、高圧のかかる圧力鍋がいいと思います。
では、よく目にする圧力鍋はどの位の圧力なのでしょうか?
作動圧力別に圧力鍋を分類
80kpa前後
ティファール、
100kpa前後
フィスラー、シリットなど。
110~130kpa前後
鋳物屋
140~150kpa前後
アサヒ軽金属
のようになっています。
気になるのは実際に玄米を炊いたらどうなのか?ですよね?
そこで、高圧と言われる100kpa以上の4つの圧力鍋を使った経験をレビューします。
4つの圧力鍋を使ってみた感想
フィスラー
フィスラーはドイツ製の有名ブランド鍋で、蒸気も音も出ない、とても静かな圧力鍋。
ステンレス製で とてもスタイリッシュでおしゃれなフォルム …。
スプリング式圧力鍋なので、重りがなく、圧力はハンドル部分で3段階に切り替えることができます。
老舗のメーカーなので、パーツの取り寄せをできる店が多いのも安心です。引っ越ししたり、購入した店が取り扱いをやめてしまったりしても長く使い続けることができます。
保証期間も10年と長いのがうれしい。
20年ほど前、アルミがアルツハイマーの原因となっていると言われるようになり、それまで料理教室ではアルミの圧力鍋(鋳物屋の平和)を使っていたのですが、色んな圧力鍋を試すことになり、一時期フィスラーを使っていたこともありました。
基本の玄米の炊き時間は高圧で(ピンが上がってから)20分。蒸らし10分〜15分。(ピンが下りるまで)
炊き上がりはあっさりして粘りが少なめ。色も白っぽく、土鍋と平和の中間くらいの炊き上がりです。一晩浸水しても平和ほどもっちりはしません。
水分を多くすれば柔らかくはなるのですが、もちもちはしない…。
時間をかければいいかもと、火にかける時間を長くすると、内釜がないため、焦げやすく…。
発芽玄米にしたり、コメの銘柄を代えてみたりと色々試してみましたが、私の好きな、むっちり艶々の玄米にはなりませんでした。
シコマチック
その後、ドイツのシリット社のシコマチックを使う機会がありました。シラルガンという強化ガラスセラミックという材質を使ったなべです。
その頃はステンレスも健康被害があるという説があり、金属に忌避反応のある方が多かったので、試してみました。
フィスラーと同じくスプリング式。重りがないので音がしないのはいいのですが、ピンが上がるのを注意していないといけないのがちょっとネック。
うっかりものの私は見落としてしまうことがままありました。
圧力の設定もフィスラー同様ハンドル部分で簡単に。
ドイツでは圧力鍋のシェアナンバー1を誇るシラルガンですが、日本では取り扱いがそこまで多くないので、保証期間は10年あるものの、部品の取り寄せはフィスラーに比べ、少し大変かもしれません。
使っていた10年ほど前はけっこう取り扱い店が多かったのですが、2020年現在ではやめてしまったところが多いようです。
表面がガラスなので、食材の味や風味を損なわないし、遠赤外線効果によって、水が弱アルカリ性になったり、料理がおいしくなるというプラスアルファがあるのがシラルガンの特徴。
ガラスと言ってもすごく丈夫で、引っ掻いても傷になりにくく、フッ素素材のように剥がれたりもしてきません。
肝心の玄米の炊き時間は高圧で(ピンが上がってから)20分、蒸らし10分〜15分(ピンが下がるまで)
シラルガンは90kpaとフィスラーに比べて圧が低いので、一抹の不安がありましたが、フィスラーと比べてそんなに変わりはなかったです。
炊き上がりややさらりとした粘りのないふんわりした仕上がりです。
色も白っぽくて、圧が強くかかっていないのがわかります。あっさりしているのでこれはこれでおいしいし、たまにはいい…。
うん、特に夏はいい…、子供も美味しく食べるかも…。でもちょっと違う…。
私の好きなもちもちが足りない…。
銘柄を代えたり、水分量、炊く時間を変えて試行錯誤してみましたが、やはり好きなモチモチ感は出せませんでした。
活力鍋
やはり外国産の圧力鍋は、コメを炊くようにできていないんじゃないか。そう思った私は日本のメジャーなメーカーアサヒ軽金属の活力鍋にチャレンジしてみました。
活力鍋は、今回使ってみた4つの中で一番気圧が高く、2.44気圧。「白米が1分で炊ける」といつも新聞の広告で見ていたので気になっていました。
素材はステンレスとアルミを5層構造にしたもので、熱伝導率と保温性に優れているとのこと。
玄米の炊き時間も一番短く、圧がかかってからなんと15分!
一番の売りはやはりこの高気圧でしょう。
圧力の設定は鍋の上部に取り付けられているオモリを取り替える方式。
圧力がかかってくるとシュッシュッと音がなるので、火を弱めるタイミングをミスすることがありません。
これはけっこうでかい。フィスラーやシラルガンでは、気づかず焦がしてしまったことが何度かありました・・・^^;
そして活力鍋にはなんと30年の保証が!
やはり日本のメーカーの技術力はすごいです。
さて、肝心の玄米です。
その炊き上がりは…
うーん、何というか…水っぽい?べちゃっとしてる?米一つ一つがくっついている感じなのです。
圧力が高すぎるせい…?
活力鍋は借り物だったため、試行錯誤する時間がなかったのが残念でしたが、炊いてみた感想は、やはり、圧が高いだけでは玄米をおいしく炊くことはできないんだなということ。
ステンレスとアルミの5層構造で熱伝導率はいい素材のようですが、やはり厚みがない分、蓄熱量が少ないのかなと感じました。
先を急ぎたいところですが、長くなってしまったので、続きは後編に!!
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