小学生の頃、伝記が好きで、図書室にあった偉人伝記シリーズは端から全部読んだ。エジソン、ベンジャミン・フランクリン、キュリー夫人、西郷隆盛、ベートーベン、二宮金次郎、ヘレンケラー…。
今ならどんな偉人が並んでいるんだろう?その当時(40年も前だ)のスタンダードな偉人達は、とにかく立派な人達だった。貧しさやいじめ、病気などの様々な困難を不屈の努力で克服していた。
小学生の私は、そんな立派な人に憧れていたが、実際は極貧ってわけじゃなかったし、いじめにもあってなかったし、健康で、しかも致命的なことに、ベートーベンみたいに耳が聞こえなくなってもやりたいようなことがなかった。
何かを犠牲にしてもやりたいこと、しかも世の中のためになることじゃなきゃだめなんだ。小学校の図書室でそれをインプットしたせいか、その後好きなことができても、職業にするには今一つ「好き」が足りない気がした。
例えば作文、絵を描くこと、服を作ること、料理を作ること、英語。どれも好きだけど様々な困難なんて乗り越えられそうにない。とりあえず食べていくために働かなきゃ。
私にはどうしてもやりたいことなんてないんだ。強い意志のない心の弱い私には、好きなことを職業にするなんてとうてい縁がないんだ。
ゲームのレベルでいったらきっと2くらいだ。ベートーベンは8、西郷隆盛は10といったところか。レベルが2だと、一番簡単な第一ステージのボスキャラにさえ勝てないだろう。西郷隆盛なら軽くクリアだ。
そんな私は、でも今50歳になって好きなことをしている。大好きな読書と作文、時々映画。あとどのくらい生きられるかわからないからという消極的な理由で。
毎日本を読んでブログを書いている。時々人の文章と比べて恥ずかしくて死にたくなったり、絶望したりする。でも書くことで新しい自分を発見したり、思ってもいなかったことが文章になって出てきたりすると楽しい。
自分の中を探検しているような感じ。新しい視点を通して世界を探検している感じ。
きっと、好きなことをやっている人は毎日が冒険なんだろう。どこへ向かうのか先が全く見えない、ワクワクするようなアドベンチャー。
たまたますごーく世の中のためになった人が偉人と呼ばれ、そうでもない人もきっといて、でも偉人じゃなくてもその人たちは十分幸せなんだろうな。
今でいったらユーチューバーとかも楽しそうだもん。観てる私も楽しいんだから世の中の役にたってるしね。彼らはどのくらいのレベルなんだろう?聞いてみたい。
私「ユーチューバーとして活動するきっかけって何ですか?やはり強い気持ちがあったんですよね?」
ユーチューバー「普通に毎日やってることを動画にアップしてるだけなんで、特に何の気持ちもなかったですよ。」
こんな風に言われそうだ。レベルは0?あああ、もっと早く始めてればよかったな。
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