英字新聞が素敵なわけ

目安時間:約 5分

梅雨の合間のいいお天気の土曜日のこと。夫と憧れの野外ピザに挑戦しようという事になった。野外ピザといっても庭にピザ窯があるわけではない。ピザ窯を作りたいわけでもない。でも外でピザってなんかカッコいい。

 

じゃあどうやって作る?。今ある七輪ふうのバーベキューコンロの上にステンレスのボウルかぶせてみたら?金属は熱伝導がいいから熱が逃げちゃうよ。じゃあ植木鉢のせれば?いいねそれやってみよう。

 

結局炭を入れるところも植木鉢にして、その上に焼き網をのせ、大きい植木鉢をかぶせて窯にすることになった。

 

早速いそいそと買い出しに。食材の調達が終わった私たちは100円ショップ「ダイソー」に向かった。焼き網を買うためだ。ちょうどいいサイズの網が見つかりホクホク顔でレジへ。

 

お会計を済ませている間、所在無げな夫は入口付近に陳列されていたパッケージ用品を眺めていた。

 

車に戻りながら夫が「英字新聞ってなんでかっこよく見えるんだろうね?」英字新聞をプリントしたパッケージ用品がたくさん並んでいたのだ。

 

夫「日本語の新聞でプレゼントを包む気になる?」

 

私「全然ならない」夫「うーんかっこよくないね」

 

夫「ハングル文字とか、アラビア文字とかでもかっこよく見えるのかなあ?」

 

想像してみた。

うーん、やっぱりかっこよくない。英語だからかっこいいのだ。

 

考えてみると不思議だ。英字新聞ならかっこいいのに、どうして日本語やハングル語やアラビア語の新聞でプレゼントを包むのはかっこ悪いんだろう。

 

若い頃モロッコを旅行したことがある。アラビアンナイトの世界の迷宮のようなカスバや、大道芸人やスリでいっぱいの市場。混沌とした世界を支配しているのはアラビア人。アラビア語をガンガンにがなり立てられ、英語もほぼ通じない。

 

宿の人、商店の人、客引きの人くらいしか接しないけど、なんでこんなにぐいぐいくるんだ?日本人とは距離の取り方が全然違う。なんかアラビア人って疲れるな。ああもう疲れちゃった。

 

モロッコはスペインと近いのは知っていた。フェリーで1時間くらい。行く予定はなかったけど、モロッコを逃げ出したくなって行くことにした。

 

ところが、スペインに渡った私はモロッコにいた時とは全く違うタイプのダメージを受けてしまう。

 

初めてのヨーロッパにワクワクしながら港から出て歩きはじめた私。石畳、道路標識、街灯、店や民家や教会などのあらゆる建造物が信じられないほど美しい。こんな素敵なのが普通?日本にあったら拝観料とれると思うよ?

 

すれ違う学生、子供、会社員らしい男女、初老の夫婦、全ての人がとにかく美しい。堀の深い顔立ち、吸い込まれそうな色の瞳。ふわふわにカールされた明るい色の髪。

 

今までいたモロッコとものすごくものすごく違う。この人たちに比べて私ってなんて汚いんだろう。汚れた靴、安物のリュック、日本人特有ののっぺりとした顔に化粧さえしていない。こんな美しい街の美しい人に囲まれたら恥ずかしくて歩くこともできない。

 

モロッコでは騙されたり、ぼられたり、散々な目にあっても、こんなダメージはうけていない。

 

ああ、ヨーロッパってすごい。私はヨーロッパのスゴさに打ちのめされてしまった。南端のスペインでさえこんななんだから、パリはどのくらいすごいんだろう?パリに打ちのめされないためにはどれくらい修行を積めばイインデスカ?

 

ニッポンのここがスゴイ!ってTVで盛んにやってる。日本は欧米に負けてない、日本の良さは世界に誇れるってみんながんばってる。でもやっぱりプレゼントを包むのは英字新聞なんだよね。

 

あれから25年。私はいまだにスペイン以外のヨーロッパの地を踏んでいない。

 

ピザは旨かった。

 

 

 

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管理人:やっちゃん@平戸育子

ゆるベジ料理スペシャリスト

厳格なマクロビアンの家庭で育ち過食症に。克服した経験と、自然食品店勤務20年の経験を元に、簡単に作れて、美しく、食べておいしいゆる~いマクロビオティック料理の教室を主宰しています。/リマクッキング富士宮校講師歴10年/映画と読書とお酒が大好き/10代後半の子供二人と、単身赴任中で週末だけ帰ってくる夫と静岡県富士宮市に住んでいます。/自分の体を信じることで自然に健康になっちゃう考え方やレシピを配信しています。

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